2019年2月16日土曜日

仏像彫刻の勧め(4)最終です。



「弘法筆を選ばず」は嘘で本当はお大師様は筆を特注したり道具に拘った様です。仏像彫刻も同じ、切れない彫刻刀ではよい作品が出来ません。彫刻刀の研磨技能は必須です。欠けた刃、切れなくなった刃を蘇らすのは結構楽しい作業です。
写真は手入れをせず切れなくなった彫刻刀の名品をメルカリで衝動買いして、再研磨して再販中の広告写真です。右側は切れ味を証明する為に乾燥した檜の薄板を木目に直角に削った写真で非常に厳しいテストで少しでも切れ味が悪いと溝に亀裂、割れが発生します。見事に名品の切れ味を蘇らせました。
彫刻刀の中で再研磨が難しいのは三角刀→丸刀→平刀・印刀です。容易な印刀・平刀も刃幅が狭い程、難しくなってきます。
いずれも繰り返し研磨していく内にコツがつかめます。
彫刻刀の研ぎ方は本、ネットで紹介されていますので参照ください。ここではポイントとなる所だけ紹介します。イラストがあれば良いのですがスキルが無いので文章にします。

1.刃先が折れたり、大きく欠けた時はダイヤモンド砥石で整形してからキング荒砥石→仕上げ砥石(印刀・平刀は天然砥石)
で仕上げる。右用の印刀を左用に手直しする事も出来ます。

2.砥石は常に平に面修正する。
 
面修正には板厚のあるダイヤモンド砥石を使いますがダイヤモンドが直ぐ脱落して寿命が短いので、今はこの砥石を定盤代わりに耐水ペーパーを敷いて使っています。荒砥石には#280番、仕上げ砥石には#280番→#1000番を水に漬けてから使用します。ダイヤモンド砥石より安上がりで完璧に仕上がります。

3.研ぎ面がタイコ型(中膨らみ)にならない様注意!!
  
*研ぎのストロークを大きくするとタイコになりやすいので精々4cm程度、腕だけでなく肩関節を使う。特に1分(3mm)の印刀、平刀はストロークを1cmぐらいが良い。
*印刀、平刀は指先で刃を砥石に押し付ける様にして研ぐと良い。
4.丸刀の研ぎ方
天然砥石は使わず専用の砥石を使いますが、
刃先の作る面が軸に直角になる様、仕上げるのが良い。
その為にまず普通の荒砥石に刃先の作る面を直角に砥石に当て、面全体が真直ぐになるまで削る。そうすると刃先を真直ぐ見ると平になった面が光って見えますので荒の専用砥石でこの光った面を消す様に(刃先が研げると見えなくなる)砥石の溝に光った側を押し付ける様な感覚で力の入れ具合を調整しながら研いで行きます。少し研いでは面を確認するという事を繰り返し刃先の光が消えるまで繰り返します。刃先の光が消えたら仕上げの専用砥石で刃面を仕上げます。

5.一番難しい三角刀の研ぎ方
丸刀同様、刃先が作る面を整形する。同様光った刃先面を消す様に荒砥石で研いでいく、片方だけ研ぎ過ぎない様に注意する。
両方の刃先の交点が光ら無くなれば荒砥終了、仕上げの天然砥石を軽くあてる。あとは刃が交わる底の面を研ぎ落す、ここを削らないと底面が先に当たり木を削れません。底面を研ぎ過ぎると2つの刃の交点に溝が出来ますので慎重に研ぎます。まあ2,3回失敗すれは覚えます。

以上、仏像彫刻に興味がある同級生がいるから紹介記事を書いてほしいという茶々のリクエストに応え、全く素人ながら厚かましく記事にしました。