2019年2月5日火曜日

仏像彫刻の勧め(3)



引続き仏像彫刻の用具の紹介です。

(保持作業台)
私の作業机は強化ガラス製の天板になっています。この上に砥石を置いて彫刻刀を研ぎます。水に濡れてもふき取るだけでOK、トースカンを滑らせて水平線を引くのも簡単です。さて仕上げ彫りは主に材料を手に持って慎重に彫っていく作業ですが、木材からの荒取り時は素材をしっかり固定する必要がありますので、写真の様な台を有り合わせの木材で作りました。下端は机の縁に引っ掛け、上端は素材の一端を保持します。写真の下から上に向かって削って行くイメージです。

(鑿、木槌、バイスなど)
私の場合まだ初心者で手のひらに乗る程度の作品しか作っていませんので、荒取りは少し力が要りますが彫刻刀で間に合わせています。しかし取り代が大きくなるとやはり鑿を使う方が楽です。
鑿の導入は私のこれからの課題です。

(天然砥石の勧め)
彫刻刀の再研磨は必須技能と述べました。その為の砥石選びも重要です。現在使用している砥石は前述の通りですが、その中で注目したいのが天然砥石です。天然砥石は岩石や生物の死骸が風化して丸い粒子(砥粒)となり千年で1mmといわれる地学的タイムスパンで堆石、圧縮、隆起してできた堆積岩で中でも放散虫というケイ素成分の骨格を持つプランクトンの死骸が堆石された地層から産出する砥石が最上と言われています。
たいして人造砥石は炭化ケイ素、アルミナなどの人造物を細かく砕き粒子(砥粒)としたもので砥粒は鋭く尖がり、結合剤で固められています。
この生まれの違いで
天然砥石は砥粒が丸く、研磨力は穏やかですが刃先を傷つけにくいので、研磨後の切れ味の持続が長い。しかも水を付けて直ぐに使え、目詰まりが起こらない。
対し人造砥石は砥粒が鋭いので研磨力は強く、早く研げますが、刃先にマイクロクラックが入りやすく切れ味の持続が短い。また使う時に10分程度水に漬け、砥粒の間に水を行き渡らせる必要があります。結合剤の関係で目詰まりが起こりやすい。
但し天然砥石の欠点は自然に出来た物なので異物噛み、割れ傷などが入る場合があり、良質の天然砥石は割高です。
現在、私は印刀、平刀の仕上げに京都正本山合砥と呼ばれる仕上げ用天然砥石をつかっています。この砥石、私が購入して余った物をフリマアプリ「メルカリ」に出品しています。「天然砥石 京都正本山合砥」と検索すれば出てきますので関心のある方は見てください。

次回は彫刻刀の研ぎ方のポイントをすこし。