2020年5月6日水曜日

究極の彫刻刀(印刀、平刀)再研磨法


農閑期の手慰みに始めた仏像彫刻ですがクリヤーすべき課題が多く嵌っています。
今回は仏像彫刻に一番活躍する印刀、平刀の究極の研磨方法について解説します。
裏面が完全に鏡面(裏面に映った像が歪んでいない)になっている事が前提です。裏面砥は難しくないので省略します。
道具;
左から、
①京都正本山合砥天然砥石のコッパです。16cm*6cm程度の大きさですが彫刻刀には充分です。
木製の台に固定して厚みを4隅測定し0.2mm以内(ノギス目)に収め、上面はダイヤモンド砥石などで完全に平面にしています。
②彫刻刀保持具
ホームセンターでボールキャスター等購入して自作しました。
板の間に彫刻刀を挟み固定します。
③厚さ1mm*7.5cm**17cmのダイヤモンド砥石#1000です。厚さ1mmという所がみそ
④厚さ1mmの塩ビ板

この4種の組み合わせで再研磨します。ここまで来たら勘の良い人はどうするかお判りと思います。
彫刻刀の切削面は平ら、真っ直ぐでないと切れ味が鈍ります。
風太くんは普段は切れ味が鈍ると①の正本山合砥で数往復軽く砥いで切れ味を維持していますが、手砥ですので切削面が段々太鼓状になって来ますので時々面修正のつもりで再研磨します。
方法は
1.保持具に彫刻刀をセット
ガラストップテーブルに①を置き彫刻刀の刃面が①の上に密着する様に保持具の位置を調整して動かない様に蝶金具を締める。
この時、目線を接触面に合わせ隙間が無いか確認する事が必要。
段取り用に別の平らな板を使っても良い、
印刀の場合、切削面と柄の楕円中心の関係がずれているので柄のクランプ位置を幅数㎜削った方が良いようです。
実際①の上で数往復研磨して刃面の研磨位置を確認して中央部分に研磨面が当たる様に調整する。
2.荒研磨
①の上に③を載せて、テーブルの上に④を敷くつまり、1.の段取りで出来た研削面を1mm嵩上げする事になります。
③に水を垂らしてから④の上で保持具をスライドさせながら荒削りをする。太鼓になった面を修正する程度だったらすぐに切削面全体が荒削り状態になります。



3.仕上げ研磨
③、④を取り除き、正本山合砥の上で仕上げ研磨を行う。
研削面が完全に一致していて、荒仕上げの面を均すだけなのでアッと言う間に仕上げられます。刃面は鏡面、地金部は薄曇りの
正本山合砥特有の仕上げが完成します。